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2008年10月26日 (日)

プレビュー:スカイ・クロラ イノセンテイセス(長文)

スカイクロラの戦績記録の画像

「やはりWiiに本気を出す気は無いらしい。エースコンバット(以下、AC)の流用だらけだ。技を使った時だけレシプロっぽくて、他は完全にACの流用。これは金かかってないわ。ただ、新しいシステムとそれに伴う快感にも挑戦している。音楽も文句なし。AC未経験ならWiiオリジナル操作は楽しいし、普通にオススメしたいシューティング。ただ、ACを知らないで遊んだ原作ファンは怒るかも」


 オイラの感想を一言にまとめるとこんな感じ。(一言じゃないけど)

細かいプレビューは「続きを読む」からどうぞ(ネタバレ無し)

●始めに
 本作は、人気シューティング『エースコンバット』シリーズのチームが製作した作品。特にグラフィックに定評があり、空から見た地上の表現なんか秀逸。任天堂ハードでは、過去にGC『スターフォックス アサルト』の開発を担当。そのチームが、森博嗣原作・押井守監督のアニメーション映画【スカイ・クロラ】とタイアップして製作した。ストーリーはオリジナルで、映画や原作の戦闘シーンをゲーム化したという類ではない。

●Wii独自+Wii初の操作
 本作の大きな特徴はその操作法。ヌンチャクを右手、リモコンを左手に持つ。普段の逆ってこと。
 ヌンチャクを操縦桿に見立て、それを傾けて移動しZボタンで撃つ。リモコンをスロットルに見立て、リモコンを起こして加速、倒して減速(オプションで反転可)。特に撃つときは実に操縦桿っぽい。

 ところで、ACの大きな特徴もその操作にある。左に傾ければ左に進むというワケではない。左に倒すと、機体は左に傾くだけ。その傾いたまま上昇操作することにより左旋回となる(これをエキスパート操作という)。これはオプションで変更可能で、従来型のスティックを左に倒せばそのまま左旋回する操作(ノーマル操作)も可能だが、自由自在に動こうと思うとエキスパートの方がよい。

●実質、Wiiオリジナル操作×エキスパート操作は無理
 本作も前述のエキスパート操作とノーマル操作が選択可能。
 だが、残念なことにエキスパート操作をヌンチャクの傾きで操作しようとすると至難の業。特にAC経験者がプレイすると耐えられたもんじゃないだろう。特に狙いを定めるときなどは猛烈なストレスになるに違いない。実質、Wiiオリジナル操作はノーマル操作時のみと考えた方がいい。

 逆に言えば、Wiiオリジナル操作×ノーマル操作で遊ぶのは実に楽しい。それっぽい雰囲気でレシプロ機を自在に操って飛ぶ。とは言え、狙いを定めるのは繊細な操作を要する為、向いてない部分があるのは否めないが、後述するTMCが狙いを定めてくれるので、そのへんはカバーしてくれる。

●それでも従来型操作も可能
 クラコンやGCコンにも対応している本作。これらで従来型操作が可能なのは当然で、更にオプションでヌンチャクを左手・リモコンを右手に持ち、スティックの傾きによって機体を動かす従来型操作も可能。リモコン+ヌンチャクの場合、辺りを見回す操作が出来ないが、ゲームクリアの為に使う事はまずないので問題ないだろう。

●最大の特徴、TMC
 タクティカル・マヌーヴァ・コマンドの略だが、別に覚えなくていい。”技”程度だと思ってくれれば。
 ACの基本は「敵の後ろをとる→追尾ミサイル発射→撃破or無理に撃てば外れる」であり、いかに敵の後ろをとるかが最も重要。ある程度追尾してくれるので、真後ろをとる必要はない(もちろん、真後ろが好ましいが)。

 そして本作。
 追尾ミサイルを撃てるレシプロ機などあるわけもなく、基本的に直進しかしない機銃オンリーで戦う。当然、真後ろをとるのが必須になる。ACにも機銃はあるので、AC経験者に言わせると「ミサイル無しのAC」というわけ。

 AC経験者に言わせれば「なんというドM仕様・・・」かも。そこで救済措置みたく登場するのがTMC。
 ターゲット指定している敵(ボタンで変更可能。レーダー上では重なっていても上空にいる場合は矢印が上を指す)に接近するとゲージが溜まっていく。近くであれば上下左右を一切問わない(当然、レーダー上では近くでも高度が全然違えばダメ)。ゲージは3段階だが、1段階溜まったら発動可能。発動すると、ターゲットの後ろに自動で移動する。これがTMC。後ろについたら機銃で撃ち落とす。
 まとめると「ターゲットに近づきゲージを溜める→TMC発動→自機が自動で後ろにつく→撃つ」

 「自動で敵の後ろにつく?シューティングの一番楽しいところを自動にしてどうするんだ…」と思われるかもしれないが、色々ある。
・強い敵の場合、1~2段階目では真後ろにつけない。高難易度では尚更。
・高度が低い場合や近くに障害物がある場合、ゲージは溜まり続けるが発動できない(危険な為)
・特定のターゲットには使えない(大型機や地上の敵)
・低空で急降下してる敵に発動した場合、自機も低空で急降下する格好になる為・・・(略

 特にイージーの場合は1段階目でも真後ろにつける。難易度が上がるなり敵が強ければ2~3段階目で発動させたり、発動後に自分で微調整する楽しみがある。当然、強い敵は高速で動き回るので色々大変。

●マニュアルマヌーヴァもあり。思い通りいくと快感
 文字通りだが、手動のマヌーヴァです。自動宙返りや自動反転と思ってもらえばいい。
 例えば、後ろから敵に撃たれているので《宙返り》して後ろを取り返したり、左側を敵がすれ違ったので、《左側に反転》等がある。連続では使えず発動後は数秒使えない。が、その制限時間は短い。

 複数種類があり、8種類をスティックに登録してスティックを倒しながらボタンを押して発動させる。例えば、《宙返り》はスティック下に、《左反転》はスティック左に登録すると直感的でわかりやすい。また、スティックを倒すと登録されているマヌーヴァのアイコンが表示されるのでわかりやすい。

 TMCの為には敵への接近が必要だが、手動で反転等をするのは色々と大変なのでマニュアルマヌーヴァを使うと良い。例えば、敵に真後ろにつかれて攻撃を受けているときに宙返りをして時間を稼ぐ。マニュアルマヌーヴァ中もターゲットの近くであればTMCゲージは溜まり続けるので、制限解除と同時にレベル2程度のTMCを発動させることもできる。

●更に上級テクニック。決まると最高の快感
 敵機2機が後ろから攻撃してくるとしよう。敵Aは真後ろで、敵Bは少しズレた所から撃ってくるようなシチュエーションは結構ある。まずターゲットを敵Bに合わせておく。マニュアルマヌーヴァで宙返りをし、敵Aの後ろをとって撃ち落とす。その頃には敵Bに対してTMCゲージが溜まっているのですかさずTMCを発動し敵Bを落とす…

 こんなのが決まると猛烈な快感を味わえる。ACではまず味わえない快感。後ろでなくても、敵が密集しているときはTMCであれ手動であれ敵の後ろをとったらすぐに他の敵にターゲットを合わせ、目の前の敵を落としたらすぐにTMCを発動させる…快感。

●TMCは新しい快感とテクニックを提案するもの
 TMC発動中はカメラもリプレイ映像のようにものになる(オプションでオフも可)。これもカッコイイ。しょっちゅうありえない挙動をするが、それはそれでと。たまにレシプロならではの動きになるので、それがたまらない。

 自動で後ろにつくなんて…と思われた方もいるだろうが、それならではの快感と駆け引きやテクニックも存在する。それに、特に高難易度の場合TMC発動→撃つだけという単調なものには絶対にならない。それに、強い敵の場合、一定時間接近し続けるのも苦労する。逆に、低難易度でも前述のテクニックで連続撃墜した暁には最高の快感を得られる。

●ちなみに…
 それでも自動で後ろにつくなんて邪道だ!と思う人がいるだろう事を予想していたかは知らないが、TMCを一切使わずクリアすると貰える要素も存在する(その旨が最初から表示されているので、ネタバレには当たらないかと…)

●ぷちまとめ:TMCと従来操作とWiiオリジナル操作と
 正直、攻略だけを考えるなら従来型操作よりWiiオリジナル操作が勝っている箇所は無いに等しい。だが、繊細な操作を要求される場面はTMCが助けてくれるし、特に撃つときの操縦桿っぽさはWiiオリジナル操作ならではと考える。あまり難しい事を考えず、レシプロ機を操縦する雰囲気をゲームで楽しみたいというのであれば、本作はイージィやノーマルをプレイし続けるだけでも十分楽しいと思う。また、よくある「高難易度をクリアしなけれ○○○が…」というのが殆ど無い。オイラもたまにそれで遊んでいる。その雰囲気だけで楽しい。

 TMCとの組み合わせで、宣伝文句通り「Wiiならではの簡単・直感操作で誰でもすぐにエースパイロット」であると思う。真面目な雰囲気が、その幼稚っぽさのみを掻き消してくれている。

●読み込みが多い

 特別長くは無いが、本作は読み込みが多い。特に問題を感じるのは、出撃する機体を選んでいるとき「あぁ、チューニングし直すかな」という場面。
 ミッションスタート→読み込み→出撃機体選択→戻る→読み込み→チューニング選択→読み込み→チューニング完了→戻る→読み込み→ミッション選択→読み込み→機体選択→読み込み→ミッションスタート。

 前もって全機体をチューニングしておけるし、ミッションの度にチューニングしなおす事も滅多に無いが、やっぱり機体選択画面でもチューニング出来るようにして欲しかった。

 但し、ミッションのリスタートは早い。リスタート時には機体を変える事も可能で、機体を変えると読み込みが入るが、それは短い。機体を変えなければ、基本的に読み込みは無い。

●アーウィ○よりも高性能なレシプロ機
 極々一部だが、任天堂のキツネやカエルやタカが操縦する某戦闘機でも不可能だろう機敏な動きをする敵が登場する。いくらレシプロ機+ゲームだとしてもやり過ぎな気も…まぁ、TMCを発動した自機もチラホラそんな動きをするが。

 ただ、その中には機体を反り返らせ急減速したりする等、まさにレシプロ!と思える動きが含まれている事は補足しておく。

●プチ攻略:アーウィ○より高性能なレシプロ機の落とし方
 このレビューを読んだ後にプレイした方がいれば「あぁ、コイツか」と思われると思う。
 もし、ソイツに前述のエキスパート操作で何回も落とされているなら、ノーマル操作で戦ってみてほしい。邪道かもしれないが、「こんなの勝てるか!」と投げ出すよりずっといいハズ。イージーでも凶悪ですから…

●金かかってないのが一目瞭然
 別に金かければ良いというものではないが、それでも”流用”が目立ちすぎる。
 強い敵にはレシプロっぽい動きが組み込まれているのは認める。だが、他の敵や自機の挙動等の基本システムがACとまったく同じなのは誰が見てもわかる。操作感にしてもそう。自機を動かしていて「レシプロならここは機敏に動けるだろう」というのが出来ない。前述のマニュアルマヌーヴァがそれっぽいだけで、普段の動きにレシプロっぽさを感じる事はできない。

 また、マップも同じマップを何回も使っている。シチュエーションが違うので印象は違うものの、これが《工夫》なのか《手抜き》なのかは微妙なところ。
 また、音楽が非常に良いのも認めるが、同じ曲が何回も使われる。或いは、アレンジを加えて何回も使われる。これもシチュエーションが違うので印象も違うが、同じく《工夫》なのか《手抜き》なのか微妙なところ。ただ、元曲は非常に良い。

 あと、高度計や速度計がレシプロのそれになっているのはいいが、ターゲットカーソルも変えて欲しかった。ACとまったく同じなのだ。レシプロらしからぬ電子っぽいカーソルでイマイチな雰囲気。

●余談:「ストーリィ」「イージィ」「チームのメンバ」…独特な表現
 違和感を感じる書き方と思われるでしょうが、原作がこうなんです。これも魅力の一つだと思います。

●スカイクロラの世界観とACの雰囲気と
 「オリジナルストーリーですから」と言われればそれまでだが、原作ファンは納得がいかないだろう場面は多い。
 「スカイクロラにこんな敵は出ないだろう」「こういうセリフ回しは合って無いよ」「やすくさい脚本…」等々と思われるかも。また、ACと原作両方が好きなら「どっちなんだよ…」みたいな。

 確かに、原作を彷彿させるシチュエーションは多々ある。それに伴い、原作ファンがニヤリとする所もチラホラ。
 某雑誌編集長の本には、「アニメ等を題材にしたゲームが原作の雰囲気を壊している場合が多いのは、やはり自分達が苦労して作ったシステム等を優先してしまうからではないか」という事が書いている。
 本作はまさにそれだ。スカイクロラよりACが勝っている。「あぁ、ACっぽいよね。ACによくあるシチュエーション+敵だよね」みたいな。スカイクロラの《世界観》ではなく《設定》を使っているだけに思える。また、原作でも度々使われるが《エース》がしょっちゅう使われる。これもACならではかと。

●ちなみに
 原作に「撃って落ちていく敵を見てどう思う?」みたいに主人公が尋ねられたとき、「撃った敵を見ても無意味だから、次の敵を探している」みたいに答える場面がある。

 前述の連続撃破云々のところで、なんとなくこの雰囲気を感じた。
 「真後ろをとった敵は落としたも同然。その敵に意識を向けても無駄だから、次の敵にターゲットを合わせている」みたいな…

●まとまってないまとめ
 少なくとも大した制作費がかかってないのは明白で、いかに制作費を抑えるか…という工夫が見え隠れする。それが悪いとは言わない。だが、戦闘機の見た目や効果音・マヌーヴァ使用時以外にレシプロを殆ど感じられないのは残念だ。まぁ、これはAC経験者が「この動きはACと同じじゃないか!」という先入観がある所為かもしれない。
 逆に言えば、「それっぽい雰囲気だけで十分じゃないか」「そんな事言われたってレシプロ機にそんな詳しくないし」「プロペラ機ってなんかカッコイイよね」というのであればまったく問題ないし、「とにかくかっこよく飛んでみたい」というのであれば最高だ。

 曲数こそ少ないけど、音楽は実に素晴らしい。メインテーマ?であるサビにバイオリンが入る曲は大好きだ。あと、プロペラ音や機銃音等の効果音は文句なし!

 難易度は比較的低めだし、高難易度にしなくても腕の上達がそのまま快感に繋がる事は保証する。当然、高難易度は上級者ウェルカム。ACでもお約束、好きなミッションを好きな難易度で楽しめるモードもある。練習にもいいだろう。

 AC経験者にはTMCがどう見えるかが焦点。ミサイルが無い事に対する救済措置という考えで遊べば本作の魅力は半減してしまう。だが、ACの応用がきくだけで新しいシステムによるシューティングと考えれば、その意外と深いテクニックに新しい快感を見つけられるはず。

 ACを知らない人へは、単純に格好いいシューティングだ。レシプロ機ならではの空のダンスが簡単操作で実現する。スターフォックスにハマった人へもオススメしたい。オールレンジモードに似た魅力と快感も見出せるだろう。
 当然、「ACも原作も知らないけど、飛行機を格好よく操縦したい」は大歓迎。AC経験者が有利なのは間違いないが、全体的に難易度は低めだし、前述の通り低難易度でも格好よさは変わらない。

 思えばシューティングって上級者向けが多いが、本作は非常に間口が広い。簡単操作で格好よく飛べるし、難易度も広い。AC経験者には流用の関係で手抜き感は否めないし、その所為でどうしてもACと比べてしまうんだけど、ACには無い魅力が存在するのも事実。ただ、セールス的にはスカイクロラとのタイアップが逆効果になってる気がするのが残念。

 むしろAC未経験者にこそオススメしたい。簡単操作で格好いいシューティングの登場!
 AC経験者には、連続撃墜のテクと快感を問うシューティングの登場!
 原作が大好きです!オリジナルストーリーってことはシリーズの新作みたいのですね?それは欲しい!というなら、う~ん……


スカイ・クロラ イノセン・テイセススカイ・クロラ イノセン・テイセス
メーカー:バンダイナムコゲームス
発売日:2008/10/16
機 種:Wii


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